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ピオニー・クイーン

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0406

・ピオニー・クイーン

Peony-Queen

(大阪・吉川和男作出品種)

【花】

やや紫色を帯びた桃紅色、八重、牡丹咲き。 弁はゆるやかにやや波打ち、内弁は立ち上がり外弁はそるトウツバキ系タイプで、開ききると豪快に球のようになる。 散しべ、極大輪、15cmほど。1〜3月早咲き。早ければ晩秋から咲き出す。わずかに香る(サザンカ系)。

【葉】

長楕円形、中型、光沢乏しい。トウツバキ系にしては比較的小葉である。

【樹】

立ち性。強い(接木)。枝、葉がつまりトウツバキ系にしては樹形良い。
余談だが、昨年私方で栽培している接木苗は一年で60cmほど伸びた。

【来歴】

‘Flower Girl(フラワー・ガール)’の自然実生。1980年代に吉川和男の命名・発表。
‘Flower Girl(フラワー・ガール)’はサザンカ‘鳴海潟’×トウツバキ‘コーネリアン’で種間雑種の品種である。
‘Flower Girl(フラワー・ガール)’の自然実生とあるが、花粉親もサザンカ系という記載もある。

【備考】

本種は記録によると上記のようにサザンカやトウツバキの血が混ざっている。 トウツバキ系にしては色が藤紫を帯び美しい。‘Purple Gown(パープル・ガウン)’とは異なる紫色である。 これはサザンカの血が影響しているのではないかと考えられている。 花形は‘Cornelian(コーネリアン)’の血を引き継ぎ、親よりもさらに豪快である。  
トウツバキ系にしては枝・葉が良く詰まり樹形がよい。葉も小型である。蕾ははじめ小さいが開花期直前にはみるみる膨らむ。
本種はツバキに比べて欠点の多いとされるトウツバキやサザンカの良いところを受け継いだすばらしい種間雑種品種であると思う。
吉川氏作出で、同時期に同じ‘Flower Girl(フラワー・ガール)’の自然実生で‘ピオニー・ガール’が発表されているが、 種子姉妹かどうかは知らないが、名鑑を見る限りでは花はよく似ている。葉は少し異なる。ちなみに「Peony」とは「シャクヤク」の意。

【参考】

Stirling Macoboy, The Illustrated Encyclopedia of Camellia 1998
『ツバキ・サザンカ名鑑』(日本ツバキ協会編、誠文堂新光社、1998年)
山口椿園『椿通信販売苗リスト』カタログ2001秋〜2002春号、(山口椿園2001年)

2003.08.02.記