0042

青い珊瑚礁

Aoi-sangosho

0042

・青い珊瑚礁

Aoi-sangosho

(鹿児島・種子島→埼玉)

【花】

紅色〜その年のさまざまな条件によって紫色にもなる一重、筒咲、筒蕊、中輪、2〜4月。弁脈が目立つ。
花の色は安定しないが、良い色も出る。

【葉】

楕円形、中型

【樹】

立性、強い。よく伸び、樹形はあまり良くない。

【来歴】

種子島のヤブツバキから1988年に発見されたもので、改良園が命名、1994年末に通販カタログなどで発表、表紙を飾った。

【備考】

本種発売当時、接木苗一本8,900円、太幹台接木三年生一本30,000円したが、良い花色が出にくかったためにクレームが続発したらしい。他の紫色が発色するというツバキ同様、花色は安定しない。あずき色などを含みやや独得な花色。
蕾の形が独得。はじめは新芽かとも思った。太くて、とがらないタケノコ芽というような感じ。

【抜粋】

以下の文章は、改良園の『園芸世界-増刊特集号1995春の園芸』からそのまま抜粋したもので、本種が発表された記事です。参考に載せておきます。
 ツバキというと、冬から春の花。冷たい木枯らしの季節に咲く姿が愛され、雪ぼうしをかぶった椿の花も、日本画の画題としてなじみ深い姿です。だから、なんとなく北国の花のような印象があるかも知れません。ところ が、本号の表紙の中央で華々しいデビューを飾った「青い珊瑚礁」は、南の島そのものの名前。なんだか変、でしょうか?
 でも、この花はれっきとした南の島生まれ。1988年に鹿児島県・種子島の山中で発見されたツバキなのです。その時の樹齢が約200年。永い年月のうちに南の海のあざやかなブルーに染まってしまったのでしょうか、美しい青紫の花を咲かせます。
 花形は端正で慎ましい一重筒咲き、花径5〜6cmの中輪花です。厚みのあるしっかりした花弁で、ツボミの内は花色が濃く、開花するにつれ青紫に白い芯、黄色の葯が映えて、これまでにない美しい色彩の対照を見せます。
 いわゆる“珍しい花色”は、突然変異なので不安定になりがちなのですが、この「青い珊瑚礁」の場合は暖地生まれが幸いして栽培環境や気候の影響をあまり受けず、青紫の花色も安定しています。というのも、じつはツバキの分布域はアジア東部から東南部。もともとけっして寒い地方生まれの花ではないわけです(ちなみに、世界の自生ツバキの北限地は、わが国の青森県夏泊半島。北海道には、野生ツバキは存在しません)。
以上『園芸世界-増刊特集号1995春の園芸』より。

【参考】

『園芸世界-増刊特集号1995春の園芸』(株式会社改良園、通信販売部1994年)
『ツバキ・サザンカ名鑑』(日本ツバキ協会編、誠文堂新光社、1998年)

2003.10.20.追記。2002.07.13.記